頭痛・発熱
頭痛の病態生理
刺激を頭痛として認識する「侵害受容器」は、髄膜、脳内の動脈・静脈、静脈洞、頭蓋周辺の筋肉に分布しており、脳そのものにはありません。
つまり、脳そのものには傷つけても痛みを感じません。
頭痛を引き起こす原因として、
・血管性(血管壁の拡張、伸展)
・牽引性(頭蓋内出血、髄膜の牽引・伸展)
・筋収縮性(頭蓋周囲の筋肉の収縮)
主にこの3つがあります。
緊張型頭痛
◆緊張型頭痛の特徴
肩こりの延長で引き起こされます。夕方に仕事や勉強に疲れた時に起きます。目の疲れから引き起こされる場合もあります。
◆緊張型頭痛の主な症状
・締め付けられるような鈍痛で持続する
・頭の両側、もしくは頭全体、後頭部が痛む
・仕事などはできないほどではない
・肩こり、めまいなどを伴う
◆緊張型頭痛の治療
頭蓋周辺の筋肉の持続的な収縮によるものだと考えられていますので、マッサージなどを施してみてください。ひどい場合は医師に相談しましょう。
おすすめの市販薬
群発頭痛
◆群発頭痛の特徴
夜間睡眠中に頭痛が起こりやすいとされ、男性に多いと言われています。また、目がえぐられるような痛みだと言われ、必ず片側が痛み、涙、鼻水などの副交感神経刺激症状を伴うことが特徴です。ロキソニンやバファリンなどのNSAIDsは無効です。
◆群発頭痛の主な症状
・目の奥からえぐられるような激痛
・片側に痛みがある
・涙、充血、鼻水・鼻づまり
・数分から数時間痛みが持続する
・数週間から数か月続く
◆群発頭痛の治療
直ちに医師に相談し、治療を行ってください。
・トリプタン製剤の皮下投与
・酸素吸入(保険適用)
片頭痛
◆片頭痛の特徴
片頭痛は頭蓋内外の欠陥が異常に収縮、拡張を繰り返すことによって頭痛が生ずると考えられています。血管が拡張することにより、痛みは強力で、市販薬は効きません。小学生高学年になると発症しやすくなり、遺伝性である場合が多いです。
◆緊張型頭痛と片頭痛
緊張型頭痛と勘違いすることが多いです。緊張型頭痛については上述していますので、比較してご確認ください。
◆片頭痛の主な症状
・周期的な頭痛(間欠的)
・ズキンズキンと脈打つような痛み
・左右のどちらかに痛みが生じる
・吐き気、嘔吐なども伴うことがある
・音・におい・光に過敏になることが伴うことがある
・寝込むほどの痛み、作業はできない
片頭痛には前兆のある場合、前兆のない場合に分けられます。
◆前兆のある場合
・頭痛が起こる前に、突然の視野欠損、凹凸のある線、色々な模様が組み合わさって見え、その後、数十分以内に頭痛が出現する
◆前兆のない場合
・体を動かすと頭痛が悪化することが多い
・痛みに胸のむかつき、吐き気を催すこともある
◆片頭痛の治療
直ちに医師と相談し、治療を行ってください。
・トリプタン製剤の投与
薬物乱用頭痛
◆薬物乱用頭痛の特徴
緊張型頭痛や片頭痛のある患者において、薬の乱用により引き起こされる頭痛のことです。原因物質はエルゴタミン、トリプタン製剤、鎮痛薬(NSAIDs)、オピオイドなどが挙げられています。
◆薬物乱用頭痛の主な症状
薬の乱用(1か月に10~15日以上の服用)によろ症状が出ます
・片頭痛・緊張型頭痛
◆薬物乱用頭痛の治療
・薬物の中止
中止後、2か月以内に薬物乱用頭痛は消失するとされています。
発熱の病態生理
生体内にあるプロスラフランジンE2(PGE2)が体温調節中枢にあるプロスタグランジン受容体(EP3)を刺激すると体温のセットポイントが高く設定されます。体温がセットポイントと一致するまで、ふるえや血管の収縮を通じて体温を上げようとします。基本的に、このPGE2を阻害することによって熱を下げます。
PGE2を合成する原因としてTLRへの刺激があります。感染症などにより微生物などが体内に入ると、異物としてTLRが刺激されてPGE2が合成されます。
かぜ薬って効くの?
かぜ薬とは何かというと、熱を下げる「解熱薬」、頭痛やのどの痛みを和らげる「鎮痛薬」、鼻水を抑える「抗ヒスタミン薬」、咳止めや痰を出しやすくする薬剤などを指します。
市販の風邪薬を飲めば、熱は引きます。しかし、ここで重要なのはPGE2の産生を阻害することにより熱を下げている点にあります。つまり、風邪薬には微生物や菌を殺菌してくれる作用はありません。あくまでも熱を下げることだけにとどまります。
つらいときは風邪薬を飲んだ方がよい
感染症による発熱は、熱が下がることによって感染期間を長めてしまいますが、しかし、つらいときは無理せずに風邪薬を服用しましょう。
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また、漢方薬もお勧めします。漢方薬は体の気力を高め、自然治癒力を増強させ早い段階で感染症状を和らげてくれます。漢方薬による治療も視野に入れてみてください。