視力・聴力障害

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 視力障害の病態生理

視力障害には2種類、構造に変化がある「器質的異常」、構造変化のない「機能的異常」があります。ここでいう機能的異常とは、裸眼での視力は低いですが、レンズで矯正すれば正常になるものを言います。ですので、本当に問題になる視力障害とは、矯正できない器質的異常を言います。

 

角膜炎・結膜炎

角膜に炎症があれば角膜炎、結膜に炎症があれば結膜炎です。角膜と結膜は隣接しているので同時に障害が起きやすく、重篤な角膜炎は必ず結膜炎を随伴しています。

 

◆症状

結膜炎の主な症状は充血、目やに、かゆみ、疼痛、流涙といった症状が見られます。結膜炎では通常視力の低下は起こりませんが、角膜炎では視力障害を伴い、痛みも強いです。

 

◆治療

抗菌薬の点眼を行います。結膜炎、角膜炎の気を感じたら速やかに治療してください。

 

 

網膜症・ぶどう膜症

原因が何であろうと、網膜の障害を網膜症と言います。ぶどう膜や硝子体は網膜に隣接しており、これらの部位は同時に障害されやすいので注意していください。

 

◆症状

網膜の黄斑部が障害されれば視力が低下、周辺部が障害されれば視野異常をきたします。

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また、網膜剥離では急激な視力低下や視野異常を自覚します。しかし、糖尿病網膜症の場合、初期から中期にかけて無症状ですので、注意してください。硝子体の混濁、出血、炎症が起こると飛蚊症が発症します。網膜症では原則的に痛みは起こしません。

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◆治療

点眼薬では治すことができないため、点滴や硝子体への注射によって治療します。

緑内障

緑内障とは眼圧が上昇して視神経が圧迫され、視力や視野が悪化する病気のことです。

眼圧とは「目の中の圧力」、つまり「目の硬さ」のことを言います。 目の中で一定量の水(房水)が作られ、それと同じ量が目から流れ出ていくことで、眼圧は一定に保たれています。 目の中で作られる房水の量が増えたり、流れ出る量が減ると眼圧は上がり、逆の場合には眼圧は下がります。

中には、正常な眼圧でも緑内障を生じることがあります。

緑内障は失明原因の上位で、早期発見、早期治療が望ましいとされています。

 

◆治療

緑内障治療の目的は眼圧を下げて悪化を遅らせることにあります。すでに障害されてしまった視野異常の回復は見込めません。

基本的に点眼薬で眼圧を下げて行きますが、治療効果が見込めない場合、レーザー交際切開術など施術します。

 

白内障

白内障とは本来透明であるべき水晶体が混濁した状態を指します。その原因はまだ不明なことが多いです。白内障のうちほとんどは加齢によるもので、昨今の高齢化によって白内障の症例は増えています。

 

◆症状

視力が低下していきます。はじめは異常なまぶしさ(羞明感)を感じることがあります。一般的に、白内障は徐々に進行するものですが、外傷や他の疾患に合併したものや、薬物などによる白内障は急激に進行する場合があります。

 

◆治療

水晶体の酸化防止や混濁予防のための点眼薬がありますが、症状の進行を遅らせるのが限度で、回復には至りません。ですので、白内障の治療は原則的に手術になります。