薬剤師は必要?不必要?薬剤師のお仕事

見え辛い薬剤師の仕事

お医者さんからもらった処方箋の薬を出すだけなのに、なんでこんなに遅いの!?と思ったことはありませんか?

他にも、さっきお医者さんに自分の症状を話したのに、また言わなきゃならないの!?なんて思ったことはありませんか?

恐らく、病院でもらった処方箋をなんでわざわざ薬局に行かなきゃいけないの?病院でお薬だしてくれればいいのに。と思われる方もいるかと思います。

これらの不満、問題は薬剤師の仕事姿が見え辛い事に起因しています。薬剤師の仕事について少しずつ理解を深めていきましょう。その上で、薬剤師という職業は必要なのか、不必要なのか、考えて頂ければ幸いです。

薬剤師のお仕事

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薬剤師が主人公の漫画「アンサング・シンデレラ」では冒頭からこんな一言が主人公「みどり」から漏れます。

 

もしかして、薬剤師っていらなくない?

 

衝撃的な一言ではありますが、そう考える人も少なくはありません。薬学生は1年目の講義で「薬剤師は必要かどうか」考えさせられます。

それほど、見え辛い仕事であるという事ですが、今回は薬剤師の主な仕事について見ていきましょう。

 

 

薬剤師の仕事のメインは「疑義照会」になります。疑義照会とは、お医者さんから渡された処方箋に間違いがないか、チェックすることです。簡単に言えば、お医者さんの提案したお薬が患者に本当に合っているのか、副作用が強くなってしまわないか、といった所をチェックします。

ですが、ここで1つ疑問に思うかもしれません。

 

お医者が薬を間違えることってあるの?

 

あります!

 

【日薬調査】薬学知識生かし疑義照会‐7割が処方変更 : 薬事日報ウェブサイト

薬事日報より

疑義照会の発生割合は3・15%

疑義照会をした結果、「処方変更あり」が68・9%と、7割近くで変更がなされていた。

仮に変更前の処方通りに服用した場合の影響についても質問している。それによると「患者に健康被害があったと推測される」20・4%、「医師の意図した薬効が得られなかったと推測される」26・8%などの結果となった。

100枚のうち3枚の割合で処方箋にミスがあり、ミスがある処方箋の7割近くで、処方変更が成されています。

このように、疑義照会は患者の健康被害が起こさないために欠かせないものなのです。

医薬分業

病院で薬を貰ったら楽なのに、わざわざ薬局に行くのはどうして?と思ったことはありませんか?いわゆる「医薬分業」ですが、その歴史は深く、今から1000年も前に遡ります。

医薬分業とは、薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師、薬剤師という専門家が分担して行うことを意味しています。
ヨーロッパでは800年近い歴史があり、神聖ローマ帝国のフリードリヒⅡ世(1194~1250年)が毒殺を怖れて、主治医の処方した薬を別の者にチェックさせたのが始まりと伝えられています。
1240年には5ヵ条の法律(薬剤師大憲章)を定め、医師が薬局をもつことを禁じました。これが医薬分業と薬剤師制度のルーツとされています。
薬剤師は医薬分業と切っても切り離せない職業なのです。

日本で医薬分業が始まったのは明治時代からとされています。

わが国における医薬分業は、明治時代の初めにようやく始まります。当時最も進んでいたドイツの医療制度を輸入するため、明治政府はドイツ陸軍軍医少佐のL.ミュルレルら2人の医師を教師として招へいしました。ミュルレルは日本の医療のありさまを嘆いてこう記します。
「薬剤師を何と呼ぶかもわからず、調剤は無茶苦茶であった。棚の薬びんにはラベルがほとんどなく、貼ってあっても、書いてある薬品名はでたらめであった」
ミュルレルらは、医療は医師と薬剤師を両輪として成り立ち、薬学教育が急務であることを政府に強く進言しました。これを受けて、1874(明治7)年に制定された『医制』にはこう記載されています。
「医師タル者ハ自ラ薬ヲ鬻(ヒサ)クコトヲ禁ス 医師ハ処方書ヲ病家ニ附与シ相当ノ診察料ヲ受クヘシ」
「調薬ハ薬舗主薬舗手代及ヒ薬舗見習ニ非サレハ之ヲ許サス」
「処方書」は処方箋(しょほうせん)、「病家」は患者さんのことで、処方箋を出して診察料を受け取るという今日では当たり前の医師の姿が、あるべき姿として描かれています。
「薬舗主」は薬剤師で、1889(明治22)年の『薬律』制定とともに、本格的な薬事制度が導入され、薬局、薬剤師の呼称が用いられるようになります。

日本薬剤師会、医薬分業ページより引用

日本において、医薬分業が成り立ったのは明治時代からですが、最近になって、急速に注目されるようになりました。

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画像を見ると、1992年の医薬分業率はたったの14.0%!いかに進めてこなかったかを表しています。

医薬分業のメリット

1 医師の処方箋を調剤薬局の薬剤師が二重にチェックすることにより、より安心にお薬を受け取ることができます。

2 調剤薬局では、患者さんの薬の記録を作り過去の副作用やアレルギーを記録しますので、同じ薬や類似薬を医師が処方した時は、医師に連絡して処方内容を変更してもらう権限を有しています。このため、医師によるうっかりミスも未然に防ぐことができます。

3 患者さんが他の病院・医院で受け取った薬や一般市販薬を二重に服用していないかどうかを、医師だけではなく薬剤師も患者さんから聞き出そうとするため、二重服薬が避けられます。

4 医師や看護婦から聞きにくかった薬の説明(効能と副作用)と服薬指導を薬剤師から充分に受け、薬剤情報提供書(お薬手帳)を発行してもらうことが可能になります。 

5 医師は薬価差益確保のために薬を出来るだけ多く出すことが無くなりました。

医薬分業

最後のチェックは薬剤師

薬局でも、「今日はいかがされました?」と聞かれて煩わしいかもしれませんが、体の状態、症状を詳しく薬剤師が知る事で、本当にその薬があっているのか見ています。体は辛いかもしれませんが、必要な経緯だということを忘れないで下さい。

 

マンガでわかる薬剤師: あなたの知らない調剤薬局の裏側

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